近況

 昨日の議論をもう少し深めてみたい。

 「プログラミングという仕事はゆっくりやることが可能なのか」という命題だ。

 例えばプリント類を100束ホッチキスで閉じる仕事があったとする。この仕事をゆっくりやることは簡単だ。ぼーっとしながらやればゆっくり出来るからだ。では、図面に記されたマークの数を数える仕事はどうだろうか。これもゆっくり数えれば簡単にゆっくり出来そうだ。

 それでは、「1 + 1 = ?」「2 + 3 = ?」といった簡単な算数を解く仕事があったとする。これをゆっくりやることは出来るだろうか。単純にはNOだ。なぜなら、「1 + 1 =」という数式を見た瞬間に脳の神経細胞は瞬時に解いてしまって、答えを筆記具で書くだけだからだ。

 プログラミングという仕事にも同じことが言える。「(1) 解こうとしている問題の構造を頭の中で組み立ててコードを考える」、「(2) 考えたコードをコンピュータに入力する」という、極端に言ってしまえば「1 + 1 = ?」を複雑にしただけの作業だからだ。(1)は脳の神経細胞レベルの話だから意図的にゆっくりやることは出来ないし、(2)もキーボードをタイピングするだけだから今更ゆっくりやることは出来ない。つまり、プログラミングという作業それ自体はゆっくりやるということが難しいのだ。

 ではゆっくりやるにはどうすればいいかというと、外部から何らかの邪魔になる要素を意図的に介入させるしかない。極端な事例を示すと、ニコニコ動画で有名なドワンゴ社では、Slack(Web業界でよく使われている社内チャットツール)の雑談用のチャンネルが1500以上あるらしく、業務時間中に自分の趣味にあったチャンネルで雑談チャットにいそしみながら仕事をしているらしい(「ドワンゴ slack」で検索すると嘘のような本当の話がたくさん出てくる)。ここまでくると半分チャットをしながら半分仕事をするみたいな感覚になる。これは僕は非常に優れたアイデアだと思っている。プログラミングは底なし沼みたいな性質を持っていて、他業種に比べて精神を病みやすいと言われている。つまり、あまり真面目に仕事を直視しすぎてはいけないのだ。

 チャットではなくとも、例えば音楽を一日中流しっぱなしにするとか、半分ネットサーフィンをしながら半分仕事をするとか、そういう外部からの邪魔になる干渉を自発的に取り入れないと、プログラミングという仕事はゆっくりすることが出来ない。逆説的ではあるが、健康的に長く働きたいのだったら、仕事中にあまり真面目に仕事だけに向き合ってはいけない、とまで言ってしまっても言い過ぎでは無いような気がしている。

広告を非表示にする